灰の舞う墓所に1人立つ、血塗れの狩人。
歴戦のベテランのようだが、詳細は不明。
独特の歪な双刀を用いる狩人。
烏羽のマントをまとい、医療者のマスクを着けた、異様な使い手。
とりあえずは味方のようだが…
ヤーナムには、かつて獣の病が蔓延り、故に焼かれ棄てられた区画がある。
谷合深いその場所は、いまや旧市街と呼ばれ、通う人のない廃墟であるが、
その場所に、ある古狩人の噂がある。
かつて旧市街に消えた彼は、二度と戻らず、だが生きているというその噂は、高い技量、
また枯れた生き様が、強い印象を残した故のものだろうか。
病により獣となった者の中でも、ひときわ大きな獣。
名状しがたい異形の角をもち、悲鳴のような叫び声をあげる。
その体は痩せさらばえ、あばらが浮かび、肉などは細くこびりついている程度だが、
しかし恐ろしい膂力を誇る。
ヤーナムには、聖職者こそがもっとも恐ろしい獣になる、という古い噂がある。
故にこの痩せた異形の獣も、聖職者の獣と呼ばれているが、
彼が実際何者であったのか、まだ分からない。
血に塗れた異形の獣。
背中から全身の皮が大きくベロリと剥がれ、故に血に塗れ、また血に渇いている。
なぜそのような姿になったのか、まだ分からないが、
素早く激しい動きが不規則で読み難い、危険な獣である。
ヤーナムのはずれ、陰気で歪んだ墓守女たちの街、ヘムウィック。
その奥には、古く大きな館があり、1人の狂った老婆が住んでいる。
老婆は、夜な夜な怪しげな儀式に耽り、そのために、なぜか目玉ばかりを集めているという。
身寄りのない死体が集まり、処理される墓場の街は、そのための格好の場所なのだろうが、
あるいは、だからこそ魔女は、生き身の目玉に執着するようだ。
病の蔓延により、獣狩りに蜂起した群衆のなれの果て。
熱病のような狩りの衝動はそのままに、既に自身が獣の病に侵されている。
だが彼らはそれを知らず、狩り、殺すべき獲物を探し続ける。
彼らの濁り蕩けた瞳には、人こそが獣に映るのだろう。
蜂起した獣狩りの群衆の中には、ちらほらと車椅子の老人が混ざっている。
老人、特に豊かな老人が車椅子に乗るのは、ヤーナムでは日常の風景であり、
古い惨劇の記憶から、護身の銃器を手放さない者も多い。
よく動けぬ彼らにとって、それだけが獣から身を護る寄る辺であり、
また振るい得る唯一の暴力なのだ。
腐肉食のカラスの中でも、特に人の屍肉を好むものたち。
死体の豊富なヤーナムでは、当然のように醜く肥え太り、既に飛ぶことすらままならないが、
攻撃性は高く、血の香りに敏感で、うかつに近付けば生きた人間にも襲いかかる。
今生きているとして、死して屍肉となるのだから。
ヤーナムの血の医療を統括する医療教会が、獣狩りに用いるという大男の奴僕。
半ば恐ろしい伝承の中の存在であり、その表情はごく虚ろで、
巨体は異様に痩せ、肌は青白く、絶叫とともに銀製の巨大な武器を振るうという。
首から提げたベルは、大男の凄惨な狩りを知らせるものであり、
仮にもその音が聞こえたならば、ヤーナムの民は固く扉を閉ざし、決して外には出ないだろう。
ヤーナムの不吉な噂の1つ。
振り鐘を鳴らす黒衣の狂女。
その鐘の音は、あらゆるよからぬものを呼ぶという。