宇宙の深淵は、人間たちの平穏を許さないのか――
地球を飛び出して数世紀、数多の苦難を乗り越えた人類は、
“銀河連邦”の設立と拡大により、統一された秩序と平和を手に入れようとしてきた。
しかし、ここにまた、新たな争いの火種がくすぶり始めたのだ。
地球から6000光年以上離れた未開惑星“フェイクリード”。
多くの事例がそうであるように、歴史のうねりは辺境の一惑星から起ころうとしていた。
「レスリア王国」。
三方を囲まれ、温暖な気候、風光明美かつ豊かな土壌にめぐまれた、大陸を代表する大国である。
しかし、近隣諸国に比しても強大な国力に支えられてきたはずのこの国の人々が、今、平穏を脅かされつつあった。
呪印による動物たちの凶暴化、さらには、「エイタロン」を名乗る強盗団が辺境地域を荒らしまわり、レスリアは「暗黒の7年間」と呼ばれる不安定な時期に陥ったのだ。
王国の南端に位置する村「スタール」も、滅亡の危機に瀕していた。
この危難に対し、1人の青年が立ち上がる。
フィデル・カミューズ――――王国剣術指南役を父にもち、自らも道場の師範を務める剣士である。
彼は旅立つ。兄妹同然に育った幼馴じみのミキとともに。
しかしそれは、星の運命をも動かす戦いの日々への旅立ちともなったのだった。