──その日、“日常”に穴が空いた。
東亰郊外の《杜宮市》に住む
17歳の平凡な高校生《時坂洸(トキサカコウ)》は、
ある日のバイト帰りに、深夜の旧市街で“事件”と遭遇する。
柊明日香(ヒイラギアスカ)──
4月に帰国子女として編入したばかりの
容姿端麗にして明朗快活、人気者のクラス委員長が、
タチの悪い不良たちに絡まれ、連れて行かれようとしていたのである。
『なんでこんな時間に……!』
舌打ちしながらも、意を決して路地裏へと追いかける洸(コウ)。
果たしてそこには──
この世のものとは思えぬ、おぞましくも美しい空間と、
名状しがたき怪異(バケモノ)に喰われかかった不良たちと……
──虚空から、
鬼火のように青く輝く“剣”を取り出す“彼女”の姿があった――。