大陸の各地には歴代の導師たちが修行を積んだとされる「試練の遺跡」が複数存在している。
天族と人間が共存した時代の遺物とも伝わるが、それぞれ秘境にあり、
巧妙に隠されているものもあるため、現在ではその真の意味を知る者はわずかとなった。
火の試練神殿イグレインは、地下深くに謙三されており、内部には灼熱のマグマが流れている。
また、ライラのものより強力な火の天響術が使用された痕跡が、あちこちに残されている。
水の試練神殿ルーフェイは、清浄な水の力に守られた遺跡である。
侵入者を拒む不思議な仕掛けが施されており、深部には、とある因縁をもった憑魔がとらわれているとされている。
地の試練神殿モルゴースは、大地に根を張ったような重厚さをもつ祭殿であるが、
悲しき魂が集う場所と噂されており、独特の物寂しい空気に包まれている。
「生贄の塔」とも呼ばれる風の試練神殿ギネヴィアは、
天族にその命を捧げることで罪が浄化されるという民間信仰が息づく地に立っている。
雲を突いてそびえるギネヴィアの頂上からは、己の咎(とが)を晴らすため、
今でも多くの人間が身を投げているという……